こんな雨混じりの雪の日には

 落ち込みます。
雪は決してきらいではありません。〔寒いのは嫌いですが〕しんしんと降り積もる雪をみていると、その白さにすっぽり覆われるような気がして、浄化されるような気がするのです。
が、雨混じりの雪にはただただ打ちのめされてしまうのです。
 恨みとか悲しみとか裏切りとか嫉妬とかありとあらゆる負の感情が噴出してきてしまいます。
これは所謂「トラウマ」というものなのでしょう。
こんな日は自分の傷口からいまだに流れ出る血を止められないでしまいます。いや、かさぶたをついはがしてしまって、また血を流しているに過ぎないのだけれど。
今の生活なんか虚構だ、演技だ、自分に子どもを連れて出て行けるだけの度量がなかっただけじゃないか・・・・・・
とまぁ、陰陰滅滅としてしまうのですね。

 でも、自分で決めたこと。バウアとやり直すことも、子どもを産むことも。いろんなこと全部、自分で判断して、決めたこと。
 わかってる、わかっちゃいるけど傷は大きい。とても深い。
これほどの傷は母さんが死んだとき以来だ。その傷が癒えるまでは二十年近くかかった。そう、ようやく最近、母さんの死の呪縛から逃れることができた気がする。
 そのことと同列には扱えない。バウアが死んでしまったわけではないから。でも、何年かかるのだろう?
「昔、あんなこともあったね」と笑い会える日がくるのが先なのか、やっぱりだめだと、バウアがもしくは私が出て行くのが先なのか?
 こんな雨混じり雪の日には本当に悲しくなるのです。