2012佐渡国際トライアスロン大会 レース当日

 びっくりするくらいぐっすり眠れた佐渡での一日目。
 朝というにはまだまだ早い3時15分に自然と目が覚めました。目覚ましをかけていたのは3時半。目覚ましを鳴らさずにとめて、部屋の電気はつけずに、流しの方で、まずは餅をゆでるためのお湯を沸かします。レースの朝は納豆餅、これに限ります。もち7個。若干胃もたれしますが、これぐらい食べておかないと、もちません。
 しっかり日焼け止めと化粧をして、ウェア着て、ボトルや補給食の準備。捻挫している右足はキネシオテープで固定をして…
なんだかんだで、5時ちょっと前。まだまだねむそうな子供達をたたき起こして、会場にGO
満月が私達を送り出してくれました。長い一日になりそうです。
 会場近くで下ろしてもらって、お別れです。今年も子供達は私のスタートなどは見ずに釣りに向かいます〔笑〕頼むから、今年くらいはゴールで待っていてくれよ。
 会場についたら、バイクをセットして、ボディマーキング。油性ペンでかかれるのが嫌で、わざわざバイク用の長袖ジャージをきていったんですが、逃れられませんでした。
 ウェア類のセッティングや、最後の気合入れのスーパーバーム、エネルギーゼリーを入れたら、特にすることはないので、スタート30分前、入水チェックに入りました。
 まだうっすらと暗さが残っている佐渡の海の水は、思ったよりも温かい。水温が28度もあるそうで。こりゃウェットきてマジ泳ぎしたら暑いよね、と思いながら、いつもは絶対しないウォーミングアップなどもやってみる。見渡す限り穏やかな海で、波が高かった去年よりは楽かな?と思いながら、一回岸にあがります。
去年も今年も知り合いがいなくて、すごく不安でした。去年はこの場にいること自体が、場違いな気がして、身の置き場もなかったけど、今年は不安は不安だけど、この日のために練習してきて、それがどのくらい通用するのか見てみたい気持ちの方が勝ってたかな?自分がどこまでいけるのかを見てみたい、というわくわく感のほうが強いくらい。
スタートしたら、やれるだけのことをやるだけなんだもん。
 6時。スタート。遠浅なので、しばらくは歩いて、周りの流れに沿いながらスイムへ。覚悟はしてたけど、ずっとバトルです。頭をがんがんたたかれるのも、足をさんざん触られるのも、めげずに泳ぎます。スイムで立てた作戦は、「とにかく消耗しないこと、自分のペースを守る」です。がんがん抜かされるけど、気にせず自分の泳ぎ、自分のペースをまもって、余裕をもってバイクにつなげる作戦です。それにしてもバトルは途切れません。
さすがはAタイプ。みんないいペースで泳ぎますね。沖の方では波にももまれてしまって、四苦八苦。平泳ぎをして、方向を確認しなくちゃいけないくらい。おじさんから、肩をつかまれたり、足をひっぱられたりしたときには、かなりプッツンきましたが、報復はせずに、とにかく自分のぺーす。くらげもいるらしく、首やら顔やら、ときどきチクチクします。
今年から1.9キロを二周回になって、いったん上陸できるのはうれしいのですが、その分ばらけなくて、ずっとバトルのまんまです。精神的にきついなぁ…何回やっても、この人を押しのけてまで、という感じになじめません。
 でも、心配してた肩の痛みもきにならずに、無事完泳。浜に上がったとき、日本選手権の選手紹介をしてたから、7時30分近いのかな?予想より遅れたみたいです。
 バイクのところまで走っていって、ウェアを着替え、スーパーヴァームとエネルギーゼリーを注入したら、バイクスタート。
 一番苦手なバイクパート。ここでのタイムが完走できるかどうかの鍵になります。
 T師匠からのアドバイス。登りでがんばらない。下りと平地が踏む。出力一定が消耗しない走り方。
 一週間前の大江の大会でも、堂城先生が「レースで一番やってはいけないこと、それはのぼりをがんばりすぎて、下りで足を止めてしまうこと。すなわちインターバルトレーニングですね。」と。
 両師匠の教えどおり、マイペースで登り、下りをがんばりました。登りは抜かれまくります。焦る気持ちをおさえつつ、補給ゾーンと割り切り、用意していたジェルやジェルブラスト、梅干なんかをとりながら、ゆっくり上ります。

心配していたZ坂も、蛇行しなきゃいけないほどではなくて、結構いいペースが保ててます。練習では21キロもでなかったのが、27から8くらいでてるみたい。
それにしても暑い。スタートして間もなくから、ずっと頭が痛い。水分補給とボトルの水を首筋にかけて、なんとかしのいでいるけど、厳しいなぁ…暑さとの戦いだ。
はじめて周る大佐渡のコースは見事な景色。海の色のきれいなこと。こんなところを走れるなんて、幸せ者だ。
去年と違って、家族も赤泊付近でと小木の坂の二箇所で応援してくれて、力倍増。後半になるにつれスピードは落ちちゃったけど、それでも25は保ってる。これなら行ける。余裕をもってランにいけると思った、小木の坂からのラスト30キロ。強烈なアゲンストに阻まれて、進めない。酷使してきた臀筋と腸腰筋が痛くなってきたぞ〔泣〕
最後はランに向けて少し抜いていきたかったんだけど、向かい風に立ち向かうには、そうもいってられなくてパワーでバイクフィニッシュ。ガーミンによると7時間30分くらい。予想より1時間近く早い時間。
16時半の関門に引っかからないのが目標だったから15時くらいでランにうつれるのは予想外。
もっと日が落ちてからランにうつると思って、ラン用のウェアは半そでのサイクルジャージにレースナンバーを前につけて用意をしていた。でも、まだまだ日差しがきつく暑かったので、バイクの時の長袖ジャージのまま走りたいと思って、ラン用のウェアには着替えずに、レースナンバーも付け替えることなく、前にレースナンバーのないまま走り出した。
これが、そもそもの間違い。
走り出してすぐは、バイクの体勢で固まっていた体がなかなかほぐれずに、ペースも上がらなかったけど、一キロも走れば、キロ6分ペースで走ることが出来た。メイン会場付近は一番応援も多いし、家の前でシァワーをしてくれてる人とかも結構いて、暑いながらもなんとかペースを保てて走れてる。
「この調子で走れれば、5時間かかんないではしれそうだから、ゴールタイムは14時間切れるかもしんないなぁ…ということは、もしかして、もしかして、世界選手権参加の権利がえられるかもしんないのか?この私が、JAPANしょって走れるのかも?」なんて、捕らぬたぬきの皮算用をしてたのも悪かったんだね。
 3.5キロ付近の最初のエイドに来たとき、進む方向がわかんなくなって、ちょっとうろちょろしてたら、「こっちです。このままこの道渡ってください」と誘導されたのです。
わかんないので、誘導されたとおりの道は、今まで走ってきたのと逆方向への道。ゴールに向かう人の流れに入ってしまいました。
応援の人からは「お帰りなさい」とか「ゴールまであとすこしだからね」なんても言われるし、あきらかにおかしいので、スタッフのTシャツを着ている人、5〜6人に、「私はAタイプで、走り始めて30分もたってないんですけど、本当にこっちにはしっていいんですか?」というようなことを、聞いていったわけです。でも、どの人も「このまままっすぐ行けばいいですよ」的なことを言うし…でも、どんどんゴールに近づいていって、とうとう最初の商店街にまでもどってきてしまって…ようやく審判員のひと発見。事情を話したら、「それは違います。戻らないと」
がーん。やっぱりそうだよね。違うよね。おかしいと思って、ずっっと聞いてたのに、誰も教えてくれなかったジャン。
ここまできて、もどれってか?
もうやめよう。リタイヤでもいいや、ゴールしてしまおう…と一瞬頭の中をよぎって…
いや、間に合う。これからスタートしても、制限時間には間に合うはずだ。間に合わせてみせる。
と、また同じ道を今度は間違えないように、走り出したのです。
でも頭の中はぐちゃぐちゃ。うらみつらみでいっぱい。「くっそー。だから何回も聞いたじゃん」誰に向けていいか分からない怒りでいっぱい。
体の疲労もひどく感じられて、つらい。
競技規定どおりに、前にゼッケンをつけていない私が悪いし、コースの概略くらいは把握してなきゃいけない。誰がわるいんでもない、自分が悪いんだ。このままおもしろくない思いで、佐渡での時間を過ごすのか、自分が悪かったんだと割り切って、とにかくゴール目指してベストを尽くすのか?お前はどっちを選ぶんだ?
と、自問自答。ミスコースをしたエイドまで戻ってきたときには、ゴール目指してベストを尽くす、という自分に切り替えられて、ここから再スタート。たかだか6キロ多く走っただけで、つぶれるような練習してないだろっと自分に発破をかけて、また淡々と走れました。
 足はどんどん重くなっていきます。日差しは大分柔らいできましたが、それでも暑い。エイドの度にたちどまり、頭から水をかけてもらい、コーラを飲んで、また走り出す。その繰り返し。周りの人はけっこう歩いている人が多い。私も止まりたくなるけれど、「歩いたら負け、走れるうちは走る。走れなくなったら、歩く。歩けなくなったら、這ってでもゴールする。でも今はまだ大丈夫。走れる。」とエイド以外では、止まらず、歩かず、どんがめ走法〔私が尊敬しているアスリートでーす〕でとにかく粘る。捻挫している右足は、テーピングの甲斐あって、なんとかもっている。でも、右足裏の前側にずっと違和感が。「トランジットのとき、小石でも入っちゃったカナ?」と途中止まって、靴を脱いで見るも何もでては来ず。なんかまめっぽいけど、両足の親指の爪も完全につぶされてるね、でも走れなくないからいいや。とまた走り出す。
 夕日に向かって走り、夕日を背にして走り、25キロを過ぎる頃には、あたりはすっかり星空で、北斗七星が私をみまもってくれているようでした。
 もうペースはキロ7分以上にまで落ちて、エイドからエイドまでの間がすごく長く感じる。佐渡の夜は暗くって、街灯もあまりなくって、泣きたくなるほど心細い。もうガーミンのライトをつけてペースや時間を確認する元気もない。
 そんな究極な時、私は何を思っていたかというと、「子供がゴールで待ってるから、私が帰ってくるって信じて待っててくれてるから、走って帰るんだ」ということでした。自分で思っていた以上にお母さんだったんだなぁ、私は。
四人が生まれてきてくれたから、家族がいるから、私はこうやって走っていられるんだ。この場所に立てたんだ。家族のところに帰ろう、私の今の全速力で。
 今日何度目にかに通る商店街を抜けて、ゴールエリアに戻ってきたら、家族が待っていてくれました。

 直紀、蓮、稔と手をつないで四人でゴール。ゴールした先にはあい子とばうあが待っていてくれて…本当にうれしかった。

念願のロング完走です。
リザルトは
354位〔551人中〕14時間31分16秒
スイム 1時間24分58秒 216位
バイク 7時間40分07秒 427位
ラン  5時間26分11  385位
女子総合35位〔69人中〕 年代別8位〔17人中〕

ガーミンでは48.6キロ走ってました。少なくとも6キロはロスしたのでしょう。その6キロ。36分がなければ…と思う心もなくはないですが、ゴールできたから、全てよし。
もし次挑戦することがあれば、30分は短縮できる、ということですから。
ロング完走できれば、トライアスロンやめよっかなって思っていましたが、もっと速くなれるかも?と思うと、やっぱりもう一回ロング?と思わないでもありません。まして、世界戦がみえるかも?となれば。
自分がどこまで行けるのか、やっぱりもっと見てみたいと思うのです。普通の主婦がどこまでやれるのか?考えただけでもわくわくします。
 感謝はいくらしても足りないけれど、これまで私を応援してくださった皆さんに本当に感謝しています。ありがとうございました。まだまだ私の挑戦は続きますので、これからも応援よろしくおねがいします。
つたない文での、冗長なレースレポでごめんなさい。